第305話あなたは彼女と一緒にいるから彼女に引きずり込まれないで

「申し訳ございません、本当に申し訳ございません。ラウンジへご案内しますので、お召し替えをなさいますか?」

給仕の足が「滑り」、手にしていたワイングラスが傾いて、赤ワインがそのままダニエルの服へとぶちまけられた。

給仕はすぐさま、ダニエルに心からの謝罪をする。

ダニエルは眉をひそめた。

だが、その場で大騒ぎすることはしなかった。

それよりも、回線がつながるのを待ち続けたのだ。

エミリーの携帯が鳴った――発信者は、なんとダニエルだった。

こんな時間に、なぜダニエルが自分に電話をしてくるのかと疑問は湧いたが。

それでもエミリーは通話に出た。「ダニエル、どうしてこの時間に?何かあったの...

ログインして続きを読む